裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成21(行ケ)10141
- 事件名
審決取消請求事件
- 裁判年月日
平成21年10月8日
- 法廷名
知的財産高等裁判所
- 裁判種別
- 結果
- 判例集等巻・号・頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
- 判示事項
- 裁判要旨
判決年月日平成21年10月8日知的財産高等裁判所 第4部
事件番号
平成21年(行ケ)10141号指定商品を時計等とする「DEEP SEA」との登録商標につき,商標権者が販売する腕時計の文字盤に「DEEPSEA」との表示がされていることをもってしては商標法50条1項にいう「使用」の事実に当たらないとして同商標登録を取り消した審決について,同「使用」の事実に当たるとして審決を取り消した事例(関連条文)商標法50条1項,2項本文
本件は,原告を商標権者とし,指定商品を時計等とする下記の構成から成る登録商標について,被告が商標法50条1項の不使用取消審判を請求したところ,原告による登録商標の使用の事実を認めることができないとして,登録商標の取消しを認
める本件審決がされたため,原告が,その取消しを求めた事案である。
(本件商標)
本件審決の理由は,要するに,原告販売に係る腕時計の文字盤には本件商標を構成する文字とつづりを同じくする「DEEPSEA」との表示がされているが,これは商標上の自他商品の識別標識として使用されているものとは認められないから,本件商標について法50条1項にいう「使用」の事実は認めることができない,というものであった。
本件判決は,次のとおり認定・判断し,本件審決は取り消されるべきであると判断した。
(原告販売の腕時計に付されている「DEEPSEA」との表示については,)次行の「660ft=200M」の表示とあいまって,需要者において,水深200メートルの深海においても使用できる耐水性を有するとの機能を表示するものと理解し得る可能性があるが,一方,「DEEPSEA」の語は,深い水深の場所でも使用できる腕時計の品質を表示する語として一般的に使用されているものではないこと(当事者間に争いがない。)などからすると,この「DEEPSEA」の表示については,「深海」の意味を示す用語として,需要者において,テレビ番組等においても目にする機会がめったにない深海や深い海の神秘的なイメージをも与えていると理解することができ,このことは,需要者に対して,これが付された腕時計である原告商品の自他の識別標識としての機能をも果たしているものであって,「DEEPSEA」の表示は,原告商品に自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で用いるものとして付されているということができる。
この点について,被告は,…取引者・需要者は,「660ft=200M」の表示とあいまって,「DEEPSEA」の表示を「水深200メートルの深海においても使用できる機能及び主な使用表示」と認識するということができ,同表示をもって,原告製品と他の製品を識別するための手掛かりとして認識しているということはできないと主張するが,商品に付された1つの標章が常に1つの機能しか果たさないと解すべき理由はなく,原告商品に付された「DEEPSEA」の表示が,次行の「660ft=200M」の表示とあいまって,需要者において,水深200メートルの深海においても使用できる耐水性を有するとの機能を表示するものと理解し得るとしても,その表示が,同時に,自他商品を識別させるために付されている商標でもあると解することができるものであり,上記のとおりの「DEEPSEA」の持つイメージ等に照らすと,この表示が原告商品に自他商品を識別させる機能をも果たす態様で用いるものとして付されていると解することができるものであって,被告の主張は採用することができない。
- 参照法条
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