裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成13(あ)1683
- 事件名
覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
- 裁判年月日
平成15年4月11日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第57巻4号403頁
- 原審裁判所名
福岡高等裁判所
- 原審事件番号
平成13(う)203
- 原審裁判年月日
平成13年9月17日
- 判示事項
1 「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」の意義
2 薬物犯罪を遂行する過程において費消・使用されるものとして犯人が他の共犯者から交付を受けた財産と「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」
3 犯罪を実行した翌日に我が国を出国するため所持していた航空券が刑法19条1項2号にいう「犯罪行為の用に供し,又は供しようとした物」に当たるとされた事例
4 薬物犯罪の犯罪行為を遂行するために費消した上その残額を同行為の報酬として取得することとして共犯者から交付を受けて犯人が所有する金員を全額没収することの可否
- 裁判要旨
1 「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」とは,薬物犯罪の構成要件に該当する行為自体によって犯人が取得した財産をいう。
2 薬物犯罪を遂行する過程において費消・使用されるものとして,犯人が他の共犯者から交付を受けた財産は,「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」に当たらない。
3 犯罪を実行するため共犯者から交付を受けた往復航空券の往路分を使用して我が国に入国した者が,犯罪を実行した翌日に我が国を出国するため所持していた復路航空券は,刑法19条1項2号にいう「犯罪行為の用に供し,又は供しようとした物」に当たる。
4 薬物犯罪の犯罪行為を遂行するために費消した上,その残額を同行為の報酬として取得することとして,共犯者から交付を受けて犯人が所有する金員は,「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(平成11年法律第136号による改正前のもの)14条1項及び刑法19条1項2号により,その全額を没収することができる。
- 参照法条
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成11年法律第136号による改正前のもの)14条1項,刑法19条1項2号
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