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最高裁判所判例集

事件番号

 平成16(あ)761

事件名

 有印私文書偽造,同行使,詐欺,公正証書原本不実記載,同行使被告事件

裁判年月日

 平成16年11月30日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第58巻8号1005頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 平成15(う)1775

原審裁判年月日

 平成16年3月5日

判示事項

 1 郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄に他人の氏名を冒書する行為と有印私文書偽造罪の成否
2 他人あての送達書類を廃棄するだけの意図で他人を装って受領する行為について詐欺罪における不法領得の意思が認められないとされた事例

裁判要旨

 1 郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄に他人である受送達者本人の氏名を冒書する行為は,同人名義の受領書を偽造したものとして,有印私文書偽造罪を構成する。
2 支払督促の債務者を装い郵便配達員を欺いて支払督促正本を受領することにより,送達が適式にされたものとして支払督促の効力を生じさせ,債務者から督促異議申立ての機会を奪ったまま確定させて,その財産を差し押さえようとしたが,支払督促正本はそのまま廃棄するだけで外に何らかの用途に利用,処分する意思がなかったという判示の事実関係の下では,支払督促正本に対する詐欺罪における不法領得の意思を認めることはできない。

参照法条

 刑法159条1項,刑法161条1項,刑法246条1項,民訴法99条,民訴法109条,民訴法第7編督促手続,郵便法(平成14年法律第98号による改正前のもの)66条

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