裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成2(あ)72
- 事件名
売春防止法違反
- 裁判年月日
平成7年6月20日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第49巻6号741頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
平成元年11月10日
- 判示事項
一 退去強制によって出国した者の検察官に対する供述調書の証拠能力
二 退去強制によって出国した者の検察官に対する供述調書について証拠能力が認められた事例
- 裁判要旨
一 退去強制によって出国した者の検察官に対する供述調書については、検察官において供述者がいずれ国外に退去させられ公判準備又は公判期日に供述することができなくなることを認識しながら殊更そのような事態を利用しようとした場合や、裁判官又は裁判所がその供述者について証人尋問の決定をしているにもかかわらず強制送還が行われた場合など、その供述調書を刑訴法三二一条一項二号前段書面として証拠請求することが手続的正義の観点から公正さを欠くと認められるときは、これを事実認定の証拠とすることが許容されないこともある。
二 検察官において本件供述者が強制送還され将来公判準備又は公判期日に供述することができなくなるような事態を殊更利用しようとしたとは認められず、本件に関連して同時期に強制送還された他の供述者については証拠保全としての証人尋問が行われており、本件供述者のうち、証拠保全請求があった一名については請求時に既に強制送還されており、その余の者については証拠保全の請求がないまま強制送還が行われたなどの判示の事実関係の下においては、本件供述者の検察官面前調書を証拠請求することが手続的正義の観点から公正さを欠くとは認められず、これを事実認定の証拠とすることは許容される。
(一につき補足意見がある)
- 参照法条
刑訴法1条,刑訴法320条1項,刑訴法321条1項2号,憲法37条2項
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