裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成6(あ)187
- 事件名
覚せい剤取締法違反、公文書毀棄
- 裁判年月日
平成6年9月16日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第48巻6号420頁
- 原審裁判所名
仙台高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
平成6年1月20日
- 判示事項
一 いわゆる強制採尿令状により採尿場所まで連行することの適否
二 任意同行を求めるため被疑者を職務質問の現場に長時間違法に留め置いたとしてもその後の強制採尿手続により得られた尿の鑑定書の証拠能力は否定されないとされた事例
- 裁判要旨
一 身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、いわゆる強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができる。
二 覚せい剤使用の嫌疑のある被疑者に対し、自動車のエンジンキーを取り上げるなどして運転を阻止した上、任意同行を求めて約六時間半以上にわたり職務質問の現場に留め置いた警察官の措置は、任意捜査として許容される範囲を逸脱し、違法であるが、被疑者が覚せい剤中毒をうかがわせる異常な言動を繰り返していたことなどから運転を阻止する必要性が高く、そのために警察官が行使した有形力も必要最小限度の範囲にとどまり、被疑者が自ら運転することに固執して任意同行をかたくなに許否し続けたために説得に長時間を要したものであるほか、その後引き続き行われた強制採尿手続自体に違法がないなどの判示の事情の下においては、右一連の手続を全体としてみてもその違法の程度はいまだ重大であるとはいえず、右強制採尿手続により得られた尿についての鑑定書の証拠能力は否定されない。
- 参照法条
刑訴法99条,刑訴法102条,刑訴法218条,刑訴法219条,刑訴法222条,刑訴法317条,警察官職務執行法2条1項,警察官職務執行法2条2項,警察官職務執行法2条3項,道路交通法67条3項
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