裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成9(あ)152
- 事件名
傷害
- 裁判年月日
平成9年6月16日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第51巻5号435頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
平成8年12月25日
- 判示事項
一 刑法三六条一項にいう「急迫不正の侵害」が終了していないとされた事例
二 過剰防衛に当たるとされた事例
- 裁判要旨
一 文化住宅の二階便所にいた被告人を鉄パイプで殴打した上逃げ出した後を追い掛けて殴り掛かろうとしていた相手方を、被告人が二階通路から外側の道路上に転落させる行為に及んだ当時、相手方において、勢い余って二階手すりの外側に上半身を前のめりに乗り出した姿勢となったものの、なおも鉄パイプを握り続けるなどその加害の意欲がおう盛かつ強固であり、間もなく態勢を立て直して再度その攻撃に及ぶことが可能であったと認められるなど判示の事実関係の下においては、相手方の被告人に対する急迫不正の侵害は終了しておらず、なお継続していたということができる。
二 相手方の不正の侵害は、鉄パイプで被告人の頭部を一回殴打した上、引き続きそれで殴り掛かろうとしたものであり、他方、被告人の暴行は、もみあいの最中にいったん取り上げた鉄パイプで相手方の頭部を一回殴打したほか、二階手すりの外側に上半身を乗り出した相手方の片足を持ち上げて約四メートル下のコンクリート道路上に転落させたという死亡の結果すら発生しかねない危険なものであったことに照らすと、被告人の一連の暴行は、全体として防衛のためにやむを得ない程度を超えたものであったと認められる。
- 参照法条
刑法36条
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