裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和54(あ)429
- 事件名
覚せい剤取締法違反
- 裁判年月日
昭和55年10月23日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第34巻5号300頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和54年2月14日
- 判示事項
一 捜査手続上の強制処分として被疑者の体内から導尿管(カテーテル)を用いて尿を採取することの可否
二 被疑者からの強制採尿に必要な令状の種類とその形式
三 強制採尿の過程に適切な条件を付した捜索差押令状によらなかつた不備があつても採尿検査の適法性がそこなわれないとされた事例
- 裁判要旨
一 被疑者の体内から導尿管(カテーテル)を用いて強制的に尿を採取することは、捜査手続上の強制処分として絶対に許されないものではなく、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経たうえ、被疑者の身体の安全と人格の保護のための十分な配慮のもとに行うことが許される。
二 捜査機関が強制採尿をするには捜索差押令状によるべきであり、右令状には、医師をして医学的に相当と認められる方法で行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である。
三 強制採尿の過程に、適切な条件を付した捜索差押令状でなく、身体検査令状及び鑑定処分許可状によつてこれを行つた不備があつても、それ以外の点では法の要求する要件がすべて充足されているときには(判文参照)、右の不備は、採尿検査の適法性をそこなうものではない。
- 参照法条
刑訴法99条,刑訴法102条,刑訴法218条,刑訴法219条,刑訴法222条,覚せい剤取締法19条,覚せい剤取締法41条の2第1項3号
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