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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和30(あ)4124

事件名

 業務上失火

裁判年月日

 昭和33年7月25日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第12巻12号2746頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和30年11月15日

判示事項

 一 刑法第一一七条の二前段にいう「業務」の意義。
二 行政官庁の許可を受けていない夜警勤務と刑法第一一七条ノ二の「業務」としての刑事責任。

裁判要旨

 一 刑法第一一七条の二前段にいう「業務」は、当該火災の原因となつた火を直接取扱うことを業務の内容の全部または一部としているもののみに限らず、火災等の発見防止等の任務にあたる夜警の如きをも包含するものと解するを相当とする。
二 所論は被告人は料理人として昼間八時間勤務した上、更に夜警として勤務したものであるところ、右夜警勤務は行政官庁の許可を受けていないから、憲法二七条二項、労働基準法九三条に違反し無効である。従つて被告人の本件刑事責任は否定さるべきである旨主張する。しかしながら右行政官庁の許可の有無は夜警勤務に関する労働契約の効力如何の問題たるに止まり、夜警としての任務に服したものである以上、刑法一一七条の二の「業務」としての刑事上の責任には何ら消長を来すものとは解することはできない。

参照法条

 刑法117条の2,刑法117条ノ2,憲法27条2項,労働基準法93条

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