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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和40(し)98

事件名

 刑法第七三条の罪の被告事件に対する再審請求棄却の決定に対する抗告

裁判年月日

 昭和42年7月5日

法廷名

 最高裁判所大法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第21巻6号764頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和40年12月1日

判示事項

 一 電話による通知と裁判官の転補発令の効力
二 転補発令後の裁判官の関与した評議に基づく裁判が憲法第三七条第一項の「公平な裁判所の裁判」でないとはいえないとされた事例
三 再審を開始するか否かを定める手続は憲法第八二条の「裁判の対審及び判決」に含まれるか
四 原決定の手続が憲法に違反する旨の主張が刑訴応急措置法第一八条による抗告の適法な理由として採り上げられた事例

裁判要旨

 一 裁判官に対し、電話で、転補の発令があつた旨の通知がされたときは、辞令書の交付前であつても、右転補の発令は効力を生ずる。
二 転補の発令が効力を生じた後の裁判官が評議に関与した場合でも、その裁判官が評議に関与したのが、転補発令の通知を正式のものではないと考えていたためであり、かつ、その裁判官が、いつでもその裁判所の裁判官の職務の代行を命ぜられうる資格のある者である等、判文記載の具体的事情のもとでは、形式上職務代行の発令がなくても、右評議に基づく裁判を、憲法第三七条第一項の「公平な裁判所の裁判」でないということはできない。
三 再審を開始するか否かを定める手段は、憲法八二条の「裁判の対審及び判決」に含まれない。
四 原決定の手続が憲法に違反する旨の主張は、原決定がその点について特に判断を示していない場合でも、刑訴応急措置法第一八条による抗告の適法な理由として採り上げることができる。

参照法条

 憲法37条1項,憲法82条,憲法81条,裁判所法47条,裁判所法19条1項,裁判所法75条,刑訴法445条,旧刑訴法503条,日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律18条

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