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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和55(あ)461

事件名

 公務員職権濫用

裁判年月日

 昭和57年1月28日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第36巻1号1頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和54年12月26日

判示事項

 一 刑法一九三条にいう職権の濫用の意義
二 裁判官が職務上の参考に資するための調査行為であるかのように仮装して刑務所長らに対し身分帳簿の閲覧等を求めた場合と公務員職権濫用罪の成否

裁判要旨

 一 刑法一九三条にいう「職権の濫用」とは、公務員が、その一般的職務権限に属する事項につき、職権の行使に仮託して実質的、具体的に違法、不当な行為をすることを指称するが、右一般的職務権限は、必ずしも法律上の強制力を伴うものであることを要せず、それが濫用された場合、職権行使の相手方をして事実上義務なきことを行わせ又は行うべき権利を妨害するに足りる権限であれば、これに含まれる。
二 裁判官が、司法研究その他職務上の参考に資するための調査・研究という正当な目的による調査行為であるかのように仮装して、これとかかわりのない目的のために身分帳簿の閲覧、その写しの交付等を求め、刑務所長らをしてこれに応じさせた場合は、公務員職権濫用罪が成立する。

参照法条

 刑法193条,監獄法4条2項

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