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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和26(あ)2436

事件名

 連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令違反、関税法違反

裁判年月日

 昭和31年7月18日

法廷名

 最高裁判所大法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 刑集 第10巻7号1147頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和26年4月6日

判示事項

 一 旧関税法にいわゆる「貨物」と「船舶」
二 事実を確定しないで無罪を言い渡した第一審判決を控訴審が書面審理のみにより破棄し自ら有罪の言渡をすることと刑訴第四〇〇条但書

裁判要旨

 一 旧関税法第三一条、第七六条にいわゆる「貨物」中には「船舶」を含む。
二 第一審判決が被告人の犯罪事実の存在を確定せず無罪を言い渡した場合に、控訴裁判所が何ら事実の取調をすることなく第一審判決を破棄し、訴訟記録並びに第一審裁判所において取り調べた証拠のみによつて、直ちに被告事件について犯罪事実の存在を確定し有罪の判決をすることは、刑訴第四〇〇条但書の許さないところである。
三 (裁判官田中耕太郎、同斎藤悠輔、同岩松三郎、同本村善太郎の少数意見)
 要するに、刑訴法は、第一審裁判所が、事実を認定しその事実が法律上罪とならずとして無罪を言い渡した場合たると、また、その取り調べた証拠によつては事実を認めるに足りないとして無罪を言い渡した場合たるとを問わず、控訴裁判所は、事後審として法律上認められた訴訟資料に基き自由な見地に立つて法律判断ないし事実判断をなしうるものとしているのであつて、再び事実調をなす必要があるか否かそれ自体をも控訴裁判所の裁量に委ねているのである。これが、刑訴四〇〇条本文並びに但書の法意であつて、かかる審級制度に関する現行刑訴の立法は適憲であること論を俟たない。

参照法条

 旧関税法31条,旧関税法76条,刑訴法400条,憲法31条,憲法37条,裁判所法11条

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