裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和28(あ)4915
- 事件名
封印破棄
- 裁判年月日
昭和31年4月13日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第10巻4号554頁
- 原審裁判所名
札幌高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和28年10月20日
- 判示事項
刑法第九六条にいう差押の標示を無効ならしめた場合にあたる事例
- 裁判要旨
一 建物について執行吏の占有保管に移す旨の仮処分の執行がなされ執行吏の公示書には「本件建物は仮処分申請事件につき仮処分の執行をした、何人も該建物を処分し又は此の公示書を破棄してはならない」旨掲記され、右仮処分の執行に際し、執行吏は被申請人に対し右仮処分の要旨を示した上、本件仮処分の物件は執行吏の占有に移つたからこれを処分してはならない旨諭告した場合、被告人が右差押の事実を知りながら被申請人と共謀の上右建物を他人に賃貸し占有せしめた所為は刑法第九六条所定の差押の標示を無効ならしめた罪にあたる。
(裁判官池田克の補足意見)
二 刑法第九六条が公務妨害の章中に規定されていること、従つて、その保護しようとする法益が公務であること、及びいわゆる「標示」が同条の罪の構成要件要素として規定されていること等を考えあわせるとその保護さるべき公務は、単に公務員が物を自己の占有に移す強制処分に限らるべきではなく、ひろく、法令にもとずいて行われる強制処分を含むものと解するを相当とする。してみると、本件において、所論仮処分の「公示書」には、所論のように、仮処分の執行によつて本件店舗の占有を執行吏に移したことが明白にされてはいないけれども、右店舗は執行吏において仮処分の執行をしたこと、及び何人もこれを処分してはならないことを標示したものであることは、第一審判決挙示の証拠上明らかであり、その意味において強制処分の標示として欠けるところはない。
- 参照法条
刑法96条,裁判所法11条
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