裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和29(あ)1447
- 事件名
横領、たばこ専売法違反
- 裁判年月日
昭和31年6月26日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第10巻6号874頁
- 原審裁判所名
広島高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和26年11月16日
- 判示事項
一 他に所有権移転後未だその旨の登記を経ざる不動産を、悪意にて代物弁済として所有権を取得する行為と横領罪共犯の成否
二 いわゆる事後処分として横領罪を構成しない一事例
- 裁判要旨
一 甲がその所有にかかる不動産を第三者に売却し所有権を移転したるも未だその旨の登記を了しない場合において、乙がその情を知りながら甲に対する債権の代物弁済として右不動産の所有権を取得しその旨の登記をしたとしても、乙は適法に所有権を取得したものであるから、甲の不動産横領罪の共犯とはならない。
二 甲がその所有にかかる不動産を第三者に売却し所有権を移転したるも未だその旨の登記を了しないことを奇貨とし、乙に対し右不動産につき抵当権を設定しその旨の登記をするときは横領罪が成立する。従つて、甲がその後更に乙に対し右不動産の所有権を移転してその旨の登記をした場合には前記抵当権設定登記をした時に横領罪が成立し右所有権移転契約後登記の直前に抵当権設定登記を抹消したとしても、更に横領罪を構成するものではない。
- 参照法条
刑法252条1項,刑法60条,民法177条
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