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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和29(あ)309

事件名

 建造物侵入、軽犯罪法違反、公務執行妨害

裁判年月日

 昭和31年8月22日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第10巻8号1237頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和28年12月21日

判示事項

 一 建造物侵入罪と不退去罪との関係
二 被告人が法廷の秩序維持のため退廷させられた場合とその証人審問権

裁判要旨

 一 建造物に侵入する罪は、故なく建造物に侵入した場合に成立する犯罪であるから、その侵入者が退去を求められて応じなかつた場合においても不退去罪は成立しない。
二 被告人Aは、第一審第四回公判において、適式な次回期日指定の告知を受け、第五回公判に出頭したのであるが、裁判所の職務執行を妨げたので、裁判所法71条1項の規定により退廷を命ぜられ、裁判所は、右被告人の退廷後、各証人を尋問し、これらの各証言を判示第二事実認定の資料に供していること、及び被告人Aに対する本件被告事件は必要的弁護事件でないので右第五回公判期日までに弁護人の選任なく、従つて右の各証人尋問は弁護人の立会もなくして行われたものであることが認められる。右の如く被告人が裁判所の職務の執行を妨げたため退廷せしめられるに至つた場合は、被告人自らの責において証人に対する審問権を喪失したものというべきであり、従つてこの場合被告人は、証人審問の機会を与えられなかつたということはできないものと解するを相当とする(昭和二七年(あ)四八一二号同二九年二月二五日第一小法廷判決、集八巻二号一九〇頁参照)

参照法条

 刑法130条,憲法37条2項,裁判所法71条2項

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