裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 昭和30(あ)1941

事件名

 爆発物取締罰則違反、強盗殺人未遂、強盗傷人、放火未遂等

裁判年月日

 昭和32年1月22日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第11巻1号103頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和30年4月2日

判示事項

 一 犯行の謀議の一過程に属する事実を共同被告人中の一人の自白だけで認定することは憲法第三八条第三項に違反するか
二 証人の証言拒否を理由としてその検察官に対する供述調書を刑訴法第三二一条第一項第二号により証拠として取り調べた後、右証人が態度を変え真実を供述するといつているからとの理由で再尋問の申請があつた場合にこれを取り調べることの要否
三 被告人甲の検察官に対する供述調書中に共同被告人乙からの伝聞の供述が含まれている場合にこれを刑訴法第三二一条第一項第二号第三二四条により被告人乙に対する証拠とすることの可否
四 右の場合にその証拠能力を認めることは憲法第三七条第二項に違反するか

裁判要旨

 一 独立した犯罪事実でなく、犯行の謀議の一過程に属する事実について共同被告人中の一人の自白だけで認定しても、憲法第三八条第三項に違反するものではない。
二 公判期日に証人が証言を拒否したため刑訴第三二一条第一項第二号によりその検察官に対する供述調書を証拠として取り調べた後、右証人が公判廷で真実を述べるといつているからとの理由で再度の尋問の請求があつても、裁判所は必ず右尋問請求を許容しなければ違法であるということはできない。
三 被告人甲の検察官に対する供述調書中に共同被告人乙からの伝聞の供述が含まれているときは、刑訴第三二一条第一項第二号同第三二四条によりこれを被告人乙に対する証拠とすることができる。
四 右のように伝聞の供述を含む供述調書を証拠とすることは憲法第三七条第二項によつて許されないものではない。

参照法条

 憲法38条3項,憲法37条2項,刑訴法298条,刑訴法321条1項2号,刑訴法324条

全文