裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和31(あ)1761
- 事件名
業務上横領
- 裁判年月日
昭和34年2月13日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第13巻2号101頁
- 原審裁判所名
札幌高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和31年4月17日
- 判示事項
一 控訴審が破棄自判する場合と第一審において取り調べた証拠
二 農林漁業資金融通法による政府貸付金について業務上横領罪の成立する場合
- 裁判要旨
一 控訴審が事実の取調をなし第一審の無罪判決を破棄して有罪を認定するにあたつては、第一審において取り調べた証拠は、控訴審で再び証拠調をし直すことを必要とせず、そのまま証拠能力を認めて判決の基礎とすることができる。
二 社団法人たる森林組合を代表し組合業務一切を掌理する組合長および組合長を補佐し組合業務を執行する組合常務理事が、農林漁業資金融通法(昭和二六年法律第一〇五号)の規定により政府から組合に対し組合員に造林資金として転貸交付する目的をもつて貸付され、右転貸資金以外他のいかなる用途にも流用支出することのできない金員を組合のため業務上保管中共謀の上その保管方法と使途の規正に反し、もつぱら第三者たる地方公共団体の利益を図り、その諸経費支払資金に充てしめるため、ほしいままにこれに貸付支出したときは、対政府関係における融資条件違反の罰則の有無にかかわらず、また、たとえその金員が組合の所有に属し、右第三者に対する貸付が組合名義をもつて処理されているとしても、横領罪の成立に必要な不法領得の意思ありと認めて妨げなく、業務上横領罪が成立する。
- 参照法条
刑訴法394条,刑訴法400条但書,農林漁業資金融通法(昭和26年法律105号)2条2号,農林漁業資金融通法(昭和26年法律105号)3条4項2号,農林漁業資金融通法(昭和26年法律105号)4条1項,刑法253条
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