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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和32(あ)523

事件名

 名誉毀損幇助

裁判年月日

 昭和35年12月16日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 刑集 第14巻14号2126頁

原審裁判所名

 仙台高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和32年1月30日

判示事項

 一 人権侵害、労働基準法違反等の疑があるとして関係官庁において調査を開始したという事実の報道と名誉毀損罪の成否
二 刑訴法第四一一条第一号にあたる事例

裁判要旨

 一 苟も人権侵害、労働基準法違反等の疑があるとして関係官庁において該事実の有無について調査を開始したという事実の如きは公益に影響を及ぼすべき問題であるから報道機関としての新聞紙がこれを取り上げ報道することは許容さるべきところである。註第一、二審判決は高等裁判所判例集第一〇巻一号五〇頁に登載されている。
二 名誉毀損幇助被告事件において、控訴事実となつている被告人の談話の記事がK新聞の「年少者も酷使?N営業所人権問題労基署でも調査へ」なる見出のもとに掲載された社会ニユース記事の一部分をなし、そのニユース記事の構造上これを綜合的全体的に考察するを相当とする場合に、単に被告人の談話部分のみを名誉毀損罪の成否の対象とするにととまり、右ニユース記事を取材した記者及びその編集責任者に同罪の正犯としての要件がそなわつているか否の点についての審理を尽さず、たやすく被告人のした談話をもつて名誉毀損罪の幇助に当るものとしたときは、刑訴第四一一条第一号により破棄を免れない。

参照法条

 刑法230条,刑法230条1項,刑法62条1項,昭和20年9月19日附連合国最高司令官の日本政府に対する覚書「新聞規則」,刑訴法411条1号

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