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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和42(あ)472

事件名

 住居侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反、建造物損壊

裁判年月日

 昭和43年7月12日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第22巻7号659頁

原審裁判所名

 仙台高等裁判所  秋田支部

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和41年12月8日

判示事項

 住居不退去罪につき違法性を阻却すべき事由が認められないとされた事例

裁判要旨

 秋田県県政共闘会議を組織する労働組合の代表者である被告人甲、乙らが、秋田県知事公舎第二応接室において、知事に対し、昭和三六年度県予算に関し折衝した際、折衝が行き詰りとなつたため、知事は同公舎第一応接室において予算案の査定事務にとりかかつたところ、右労働組合の組合員である被告人丙、丁を含む組合員数十名は、右の経過をきいて喧騒状態となり、床板を踏み鳴らし、労働歌を高唱し、右第一応接室の扉や壁をたたくなどし、被告人甲、乙は、右喧騒状態を制止することなく放置したまま数回にわたり第一応接室に入り、予算案査定中の知事に対し同じ主張を繰りかえしたため、予算案査定事務の進捗がはなはだしく妨害されたので、知事は事後の折衝に応ずることを拒否し、被告人らを含む組合員全員に退去を要求したという事実関係(判文参照)のもとにおいては、被告人らの行為は団体行動権行使の正当な限界を逸脱したものであり、知事が退去を要求したのは当然の措置であつて、これに応じなかつた被告人らの不退去の所為は違法性を阻却するものではない。

参照法条

 刑法35条,刑法130条,労働組合法1条2項

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