裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和42(あ)582
- 事件名
関税法違反、外国為替及び外国貿易管理法違反
- 裁判年月日
昭和47年3月9日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第26巻2号102頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和42年1月28日
- 判示事項
一 上告審判決の主文に控訴棄却の旨を表示することの可否
二 関税法一一一条一項所定の無許可輸出罪と同法一一三条の二所定の虚偽申告罪との罪数関係
三 関税法の無許可輸出罪の公訴事実中に税関吏に対し虚偽の申告をした旨の記載があるが同法の虚偽申告罪の起訴はなかつたものとみるのが相当であるとされた事例
四 当初の関税法の無許可輸出罪の訴因につき第一審で無罪とされ検察官が控訴したが控訴審でも罪とならないとされただ外国為替及び外国貿易管理法の無承認輸出罪の成立する余地があるとして破棄差し戻した判決に対し被告人のみが上告した場合と上告審の職権調査の範囲
- 裁判要旨
一 上告審が、第一審判決を破棄した控訴審判決を破棄して第一審判決を維持するのを相当と認めるときは、第一審判決と同一内容の主文を表示するかわりに、控訴を棄却する旨の主文を表示してもよい。
二 関税法一一一条一項所定の無許可輸出罪と同法一一三条の二所定の虚偽申告罪とは併合罪の関係にある。
三 関税法の無許可輸出罪の公訴事実中に、税関吏に対し実際に輸出しようとする薬品の輸出申告をしないで他の薬品の輸出申告をした旨の記載があるが、罪名は単に関税法違反と記載され、罰条として、関税法一一一条一項のみが示されているにすぎない場合には、同法上の虚偽申告の点は起訴されなかったとみるのが相当である。
四 当初の無許可輸出罪の訴因につき第一審で無罪とされ、検察官が控訴したが、控訴審でも罪とならないとされ、ただ、外国為替及び外国貿易管理法の無承認輸出罪の成立する余地があるとして破棄差し戻した判決に対し被告人のみが上告した場合には、上告審が職権調査により右訴因を有罪とすべきものとして破棄差し戻し、または、みずから有罪の裁判をすることは許されない。
- 参照法条
刑訴法396条,刑訴法413条,刑訴法256条2項,刑訴法378条3号,刑訴法392条2項,刑訴法414条,関税法111条1項,関税法113条の2,刑法45条,刑法54条
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