裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和43(あ)487
- 事件名
公職選挙法違反
- 裁判年月日
昭和44年3月18日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第23巻3号179頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和43年2月12日
- 判示事項
一 公職選挙法一四二条一項にいう選挙運動のために使用する文書の意義
二 公職選挙法一四二条一項にいう選挙運動のために使用する文書にあたるとされた事例
三 公職選挙法一四二条一項の選挙運動用文書頒布禁止の趣旨
四 選挙の公示または告示後におけるいわゆる候補者推薦依頼行為と選挙運動との関係
- 裁判要旨
一 公職選挙法一四二条一項にいう選挙運動のために使用する文書とは、文書の外形内容自体から見て選挙運動のために使用すると推知されうるものでなければならないが、選挙運動のために使用されることが、その文書の本来の、ないしは主たる目的であることを要するものではなく、また、その選挙運動において支持されている候補者(または立候補が予測ないし予定された者)は、一人であることを必要とせず、特定されていれば、複数人であつてもさしつかえない。
二 甲政党の東京都議会議員選挙立候補予定者二九名の氏名、年齢、現職、選挙区を記載した「甲政党東京都議会議員選挙予定立候補者一覧」と題する文書は、公職選挙法一四二条一項にいう選挙運動のために使用する文書にあたる。
三 公職選挙法一四二条一項は、同条項所定の文書を選挙運動として頒布することを禁止したものであり、これを選挙運動の準備行為として頒布することまで禁止したものではない。
四 ある選挙の公示または告示後の時期において、その選挙に関し、ある者が、外部から、他の個人または団体に対し、特定の者を、支持すべき候補者として、他の者または団体構成員に推薦されたい旨の依頼をする行為は、特別の事情のない限り、もはや選挙運動の準備行為ではなく、その実質は投票依頼行為であつて、選挙運動にあたるものと認めるのが相当である。
- 参照法条
公職選挙法142条,公職選挙法129条
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