裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和44(あ)2571
- 事件名
郵便法違反幇助、建造物侵入、公務執行妨害
- 裁判年月日
昭和52年5月4日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第31巻3号182頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和44年10月29日
- 判示事項
一、公共企業体等労働関係法一七条一項と憲法二八条
二、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と労働組合法一条二項の適用
三、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と刑事法上の処罰阻却
四、郵政職員の争議行為に参加を呼びかけた行為が郵便法七九条一項の罪の幇助罪による処罰を阻却されないとされた事例
五、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準
六、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた建造物侵入行為が刑法上の違法性を欠くものではないとされた事例
- 裁判要旨
一 公共企業体等労働関係法一七条一項は、憲法二八条に違反しない。
二 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為には、労働組合法一条二項の適用はない。
三 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為が犯罪構成要件に該当し、違法性があり、責任がある場合であつても、それが同盟罷業、怠業その他単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであつて、同条項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けることのないようなものであるときには、争議行為の単純参加者に限り、その罰則による処罰を阻却される。
四 郵政職員が争議行為として行つた勤務時間内二時間の職場大会に参加を呼びかけた本件行為は、郵便法七九条一項の罪の幇助罪による処罰を阻却されない。
五 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断するにあたつては、その行為が同条項違反の争議行為に際しこれに付随して行われたものであるという事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを考察しなければならない。
六 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に参加を呼びかけるため行われた本件建造物侵入行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。
- 参照法条
憲法28条,刑法第1編第7章,刑法35条,刑法130条,公共企業体等労働関係法17条1項,労働組合法1条,労働組合法3条,郵便法79条1項