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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和53(あ)1407

事件名

 身代金目的拐取

裁判年月日

 昭和54年6月26日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第33巻4号364頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所  那覇支部

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和53年7月21日

判示事項

 一 刑法二二八条の二にいう「安全ナル場所」の意義
二 刑法二二八条の二にいう「安全ナル場所」に解放したとされた事例

裁判要旨

 一 刑法二二八条の二にいう「安全ナル場所」とは、被拐取者がその近親者及び警察当局などによつて安全に救出されると認められる場所をいい、その場合の安全とは、被拐取者が救出されるまでの間に具体的かつ実質的な危険にさらされるおそれのないことを意味し、漠然とした抽象的な危険や単なる不安感ないし危惧感を伴うというだけでは、ただちに、安全性に欠けるとはいえない。
二 身代金目的の誘拐犯人が、小学校一年生の被拐取者を、夜間、同児の自宅から直線距離で数キロメートル離れた農村地帯の脇道上に解放した場合であつても、その場所自体が危険なものでなく、付近民家の者らによつて救出される蓋然性も見込まれるものであつたことのほか、犯人が同児をその自宅に復帰させるため種々努力したことなど判示の事情のもとにおいては、右解放行為は刑法二二八条の二にいう「安全ナル場所」に解放したものといえる。

参照法条

 刑法228条ノ2

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