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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和55(あ)273

事件名

 名誉毀損

裁判年月日

 昭和56年4月16日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 刑集 第35巻3号84頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和54年12月12日

判示事項

 一 私人の私生活上の行状と刑法二三〇条の二項一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」

二 刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるとされた事例

三 刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かの判断方法

裁判要旨

 一 私人の私生活上の行状であつても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによつては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる場合がある。

二 多数の信徒を擁するわが国有数の宗教団体の教義ないしあり方を批判しその誤りを指摘するにあたり、その例証として摘示した「右宗教団体の会長(当時)の女性関係が乱脈をきわめており、同会長と関係のあつた女性二名が同会長によつて国会に送り込まれていること」などの事実は、同会長が、右宗教団体において、その教義を身をもつて実践すべき信仰上のほぼ絶対的な指導者であつて、公私を問わずその言動が信徒の精神生活等に重大な影響を与える立場にあつたなど判示の事実関係のもとにおいては、刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる。

三 刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきであり、これを摘示する際の表現方法や事実調査の程度などは、同条にいわゆる公益目的の有無の認定等に関して考慮されるべきことがらであつて、摘示された事実が「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かの判断を左右するものではない。

参照法条

 刑法230条ノ2第1項

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