裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和42(行ツ)38
- 事件名
裁決取消請求
- 裁判年月日
昭和47年4月21日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
民集 第26巻3号567頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
昭和39(行ケ)150
- 原審裁判年月日
昭和42年2月14日
- 判示事項
一、高等海難審判庁の裁決の取消訴訟における右裁決の事実認定の拘束カ
二、船舶衝突海難事件における船舶の衝突地点に関する認定につき沈没地点との関係において理由梱稀ないし理由不備の違法があるとされた事例
三、海難事件における船舶の針路の認定に採証法則違背があるとされた事例
- 裁判要旨
一、高等海難審判庁の裁決の取消訴訟において、右裁決における事実の認定は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律八〇条、八一条、電波法九九条のような規定がない以上、事実審たる裁判所を拘束するものではない。
二、約一七ノツトの速力で航行中の甲船(総トン数九五四七トン)と約八・五ノツトの速力で航行中の乙船(総トン数二三八トン)とが衝突したという海難事件において、甲船の船首が乙船の右舷船尾から約四メートル前方に、前方からほぼ七五度の角度で衝突し、乙船は、船尾を圧壊され、衝突と同時に機関が停止し、自力で航行する能力を失つていたけれども、衝突直後なお行き足があり、甲船の船尾方向に急速に移動して行つたとしながら、特段の事情を判示することなく、乙船が、衝突地点からみて衝突時の船尾方向から約六度半右に振つた方向ないしそれよりもさらに左の方向に、直線距離で六八〇メートル以上離れた地点で沈没したとする認定には、乙船の沈没地点との関係において、両船の衝突地点に関する認定に理由齟齬ないし理由不備の違法がある。
三、船舶衝突海難事件において、一定時刻の測定船位を基点とし、用紙の時刻目盛とコースペンとが性格に装着されていないコースレコードにつき、一定の時差があるものと認定したうえで、その機械的記録を証拠として右測定船位から衝突地点までの船の針路を認定した場合に、右測定船位を基点とし、コースレコードに認定どおりの時差があるものとして認定されていない部分の航跡を求めると、同船が港外に出るためには防波堤を突破することになるという不合理な結果を生ずるときは、右針路の認定には、採証法則を誤つた違法がある。
- 参照法条
海難審判法4条,海難審判法53条,海難審判法56条,行政事件訴訟法7条,民訴法395条,民訴法394条
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