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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和44(オ)1073

事件名

 退職金請求

裁判年月日

 昭和48年1月19日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第27巻1号27頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和43(ネ)889

原審裁判年月日

 昭和44年8月21日

判示事項

 一、賃金にあたる退職金債権放棄の効力

二、賃金にあたる退職金債権の放棄が労働者の自由な意思に基づくものとして有効とされた事例

裁判要旨

 一、賃金にあたる退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である。

二、甲会社の被用者で西日本における総責任者の地位にある乙が、退職に際し、賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合において、乙が退職後ただちに競争会社に就職することが甲に判明しており、また、乙の在職中における経費の使用につき書面上つじつまの合わない点から甲が疑惑をいだいて、その疑惑にかかる損害の一部を填補させる趣旨で退職金債権の放棄を求めた等判示の事情があるときは、右退職金債権放棄の意思表示は、乙の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在したものとして、有効とすべきである。

参照法条

 労働基準法11条,労働基準法24条1項,民法91条,民法519条

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