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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和46(行ツ)83

事件名

 審決取消請求

裁判年月日

 昭和50年7月11日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第29巻6号951頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和43(行ケ)148

原審裁判年月日

 昭和46年7月17日

判示事項

 一、いわゆる再販売価格維持行為が昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の入に定める拘束条件付取引にあたるとされた事例
二、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二四条の二第一項の規定の趣旨
三、いわゆる再販売価格維持行為が商品の不当廉売等を防止するために行われる場合と昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八にいう正当な理由の有無

裁判要旨

 一、育児用粉ミルクの元売業者が、商品の価格維持を図るため、取引先の販売業者に対して一定の再販売価格を指示し、販売業者がこれを守らなかつたときは元売業者から交付するリベートを削減しあるいは取引を打ち切るなどの不利益を課することを内容とする判示のようないわゆる再販売価格維持行為を行うことは、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八に定める拘束条件付取引にあたる。
二、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二四条の二第一項の規定は、いわゆる再販売価格維持行為が相手方たる販売業者間の自由な競争を阻害するおそれのあるものであるかぎり不公正な取引方法として違法とされるべきことを前提として、ただ、販売業者の不当廉売等により商品の商標に対する信用が段損されあるいは他の販売業者の利益が不当に害されることなどを防止するため、同条一、二項所定の要件のもとにおいて、公正取引委員会が諸般の事情を考慮し価格維持を許すのが相当であると認めて指定した商品についてのみ、例外的にその再販売価格維持行為を違法としないこととしたものであつて、販売業者間の自由な競争の確保を目的とする昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取計方法)の八とは経済政策上の観点を異にする規定である。
三、商品が不当廉売等に供されることがあるとしても、その商品につき私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二四条の二による公正取引委員会の指定を受けることなく、かつ、すべての販売業者に対して一般的に、いわゆる再販売価格維持行為を行うことは、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八にいう正当な理由を有しない。

参照法条

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条7項4号,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律24条の2,昭和28年公正取引委員会告示11号8項

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