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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和47(オ)268

事件名

 損害賠償請求

裁判年月日

 昭和48年12月20日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第27巻11号1611頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和45(ネ)809

原審裁判年月日

 昭和46年11月18日

判示事項

 一、窃取された自動車による事故につきその所有者が自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任を負わないとされた事例
二、自動車のドアに鍵をかけずエンジンキーを差し込んだままでした駐車とこれを窃取した者が惹起した事故による損害との間に相当因果関係がない場合

裁判要旨

 一、タクシー会社からその所有の自動車を窃取した者が事故を起こした場合において、同杜が、右自動車のドアに鍵をかけず、エンジンキーを差し込んだまま、これを自己の駐車場の道路に近い入口付近に長時間駐車させていた事情があつても、窃取した者が、同社と雇傭関係等の人的関係を有せず、タクシー営業をしたうえで乗り捨てようとの意図のもとに右自動車を窃取したものであり、窃取後約二時間タクシー営業をしたのちに事故を起こした等判示の事実関係があるときは、右タクシー会社は、自動車損害賠償保障法三条による運行供用者としての責任を負わないものと解すべきである。
二、自動車の所有者が、ドアに鍵をかけず、エンジンキーを差し込んだまま、駐車場に自動車を駐車させても、右駐車場が客観的に第三者の自由な立入を禁止する構造管理状況にあると認めうるときには、この駐車と右自動車を窃取した者が惹起した交通事故による損害との間には、相当因果関係があると認めることはできない。

参照法条

 自動車損害賠償保障法3条,民法709条,民法719条1項

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