裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和50(オ)878
- 事件名
共有持分確認、共有持分登記更正登記手続
- 裁判年月日
昭和54年7月10日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
民集 第33巻5号457頁
- 原審裁判所名
広島高等裁判所 岡山支部
- 原審事件番号
昭和49(ネ)38
- 原審裁判年月日
昭和50年7月14日
- 判示事項
一 旧民法下の遺産相続による共同相続人の一人によつて相続権を侵害された他の共同相続人が右侵害排除を求める場合と相続回復請求権の規定の適用
二 旧民法下の遺産相続による共同相続人の一人によつて相続権を侵害された他の共同相続人の右侵害排除を求める請求について相続回復請求権の規定が適用されるべき一場合
- 裁判要旨
一 旧民法下の遺産相続による共同相続人の一人甲が、相続財産のうち自己の本来の相続持分を超える部分について他の共同相続人乙の相続権を否定し、その部分もまた自己の相続持分に属すると称してこれを占有管理し、乙の相続権を侵害しているため、乙が右侵害の排除を求める場合には、相続回復請求権の規定の適用があるが、甲においてその部分が乙の持分に属することを知つているとき、又はその部分につき甲に相続による持分があると信ぜられるべき合理的な事由がないときは、同規定の適用が排除される。
二 旧民法下の遺産相続による共同相続人の一人乙女が遺産分割前に他の共同相続人甲男を家督相続人に指定して隠居したが、右隠居時に乙に胎児がいたことにより右指定が無効であり、乙が遺産相続権を失わないため、甲において相続財産のうち乙の相続部分もまた右指定により自己に帰属したとして同部分に対し占有管理を続けたことが乙の遺産相続権に対する侵害となる場合においても、胎児が生後まもなく死亡したため、甲において右指定の無効を知りえず、かつ、その無効を知りえなかつたことが客観的にも無理からぬものであるときは、乙の甲に対する右侵害排除を求める請求について、相続回復請求権の規定の適用がある。
- 参照法条
旧民法966条,旧民法993条,民法884条
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