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最高裁判所判例集

事件番号

 平成14(受)846

事件名

 謝罪広告等請求事件

裁判年月日

 平成15年10月16日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第57巻9号1075頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成13(ネ)3301

原審裁判年月日

 平成14年2月20日

判示事項

 1 テレビジョン放送をされた報道番組の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについての判断基準
2 テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された事実がどのようなものであるかについての判断基準
3 テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された特定産地の野菜のダイオキシン類汚染に関する事実についてその重要な部分が真実であることの証明があるとはいえないとされた事例

裁判要旨

 1 テレビジョン放送をされた報道番組の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについては,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断すべきである。
2 テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された事実がどのようなものであるかについては,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とし,その番組の全体的な構成,これに登場した者の発言の内容,画面に表示された文字情報の内容を重視し,映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して判断すべきである。
3 テレビジョン放送をされた報道番組において,乙市産の野菜のダイオキシン類汚染に関し,丙研究所の調査結果によれば乙市産の野菜のダイオキシン類濃度が1g当たり0.64〜3.80ピコグラムである旨記載されたフリップが示され,その野菜がほうれん草をメインとする乙市産の葉っぱ物であるとの説明がされたなど判示の事実関係の下では,その番組により摘示された事実の重要な部分は,ほうれん草を中心とする乙市産の葉物野菜が全般的にダイオキシン類による高濃度の汚染状態にあり,その測定値が上記数値で示される高い水準にあることとみるべきであり,別の調査結果において乙市産のラベルが付けられた白菜1検体から上記最高値に比較的近似した測定値が得られたことなどをもって,上記摘示された事実の重要な部分について真実であることの証明があるとはいえない。
(3につき補足意見がある。)

参照法条

 民法709条,民法710条,刑法230条の2第1項

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