裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成15(許)40
- 事件名
文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
- 裁判年月日
平成16年5月25日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
民集 第58巻5号1135頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成15(ラ)1127
- 原審裁判年月日
平成15年8月15日
- 判示事項
1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして提出を命ずることの可否
2 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立てが理由がないとされた事例
- 裁判要旨
1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても,当該文書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し,かつ,当該文書の保管者によるその提出の拒否が,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる被告人,被疑者等の名誉,プライバシーの侵害等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,当該保管者の有する裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができる。
2 既に自己の有罪判決が確定した刑事事件の公判に提出されなかった共犯者の捜査段階における供述調書につき,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立ては,刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」である当該供述調書を本案訴訟において証拠として取り調べることが申立人の主張事実の立証に必要不可欠なものとはいえないこと,当該供述調書が開示されることによって当該共犯者や第三者の名誉,プライバシーが侵害されるおそれがないとはいえないことなど判示の事情の下では,保管者である検察官の提出拒否の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとはいえず,理由がない。
- 参照法条
民訴法220条3号,民訴法220条4号ホ,刑訴法47条
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