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最高裁判所判例集

事件番号

 平成17(行フ)4

事件名

 文書提出命令に対する許可抗告事件

裁判年月日

 平成17年7月22日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第59巻6号1888頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成16(行タ)117

原審裁判年月日

 平成17年3月16日

判示事項

 1 法務省が外務省を通じて外国公機関に照会を行った際に同省に交付した依頼文書の控えにつき民訴法223条4項1号の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の監督官庁の意見に相当の理由があると認めるに足りないとした原審の判断に違法があるとされた事例
2 外務省が外国公機関に交付した照会文書の控え及び同機関が同省に交付した回答文書につき民訴法223条4項1号の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の監督官庁の意見に相当の理由があると認めるに足りないとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨

 1 難民であると主張する外国人に対する外国官憲作成名義の逮捕状等の写しの原本の存在及び成立の真正に関し,法務省が外務省を通じて同国公機関に対して照会を行った際に同省に交付した依頼文書の控えにつき,監督官庁が,民訴法223条4項1号の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり,同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の意見を述べ,同文書の所持者である法務大臣が,同文書には,同国の内政上の諸問題,調査の際に特に留意すべき事項,調査に係る背景事情等に関する重要な情報等が記載され,その中に同国政府に知らせていない事項も含まれていると主張しているなど判示の事情の下においては,上記記載の存否及び内容について審理して,同文書が提出された場合に我が国と他国との信頼関係に与える影響等を検討することなく,上記意見に相当の理由があると認めるに足りないとした原審の判断には,違法がある。
2 難民であると主張する外国人に対する外国官憲作成名義の逮捕状等の写しの原本の存在及び成立の真正に関し照会するために外務省が作成して同国公機関に交付した照会文書の控え及び同機関が同省に交付した照会に対する回答文書につき,監督官庁が,民訴法223条4項1号の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり,同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の意見を述べ,上記各文書の所持者である外務大臣が,上記各文書は,公開しないことが外交上の慣例とされる口上書と称される外交文書の形式によるものであり,発出者ないし受領者により秘密の取扱いとすべきことを表記した上で相手国に対する伝達事項等が記載されていると主張しているなど判示の事情の下においては,上記記載の存否及び内容,口上書の形式によるものであるとすれば上記慣例の有無等について審理して,上記各文書が提出された場合に我が国と他国との信頼関係に与える影響等を検討することなく,上記意見に相当の理由があると認めるに足りないとした原審の判断には,違法がある。 
(1につき補足意見,2につき補足意見及び意見がある。)

参照法条

 民訴法220条4号ロ,民訴法223条3項,民訴法223条4項1号

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