裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 平成4(オ)1694

事件名

 損害賠償

裁判年月日

 平成6年9月13日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第48巻6号1263頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成1(ネ)258

原審裁判年月日

 平成4年6月17日

判示事項

 禁治産者の後見人がその就職前に無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かを判断するにつき考慮すべき要素

裁判要旨

 禁治産者の後見人が、その就職前に禁治産者の無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かは、(1)契約の締結に至るまでの無権代理人と相手方との交渉経緯及び無権代理人が契約の締結前に相手方との間でした法律行為の内容と性質(2)契約を追認することによって禁治産者が被る経済的不利益と追認を拒絶することによって相手方が被る経済的不利益、(3)契約の締結から後見人が就職するまでの間に契約の履行等をめぐってされた交渉経緯(4)無権代理人と後見人との人的関係及び後見人がその就職前に契約の締結に関与した行為の程度、(5)本人の意思能力について相手方が認識し又は認識し得た事実など諸般の事情を勘案し、契約の追認を拒絶することが取引関係に立つ当事者間の信頼を裏切り、正義の観念に反するような例外的な場合に当たるか否かを判断して、決しなければならない。

参照法条

 民法1条2項,民法113条,民法859条

全文