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最高裁判所判例集

事件番号

 平成6(行ツ)206

事件名

 損害賠償

裁判年月日

 平成9年1月28日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第51巻1号287頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成5(行コ)147

原審裁判年月日

 平成6年7月6日

判示事項

 一 財務会計上の行為が違法、無効であることに基づく実体法上の請求権が右行為の時点では発生しておらず又はこれを行使することができない場合における右請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする住民監査請求と地方自治法二四二条二項の適用
二 市長の違法な土地転売行為により市が被った和解金相当額の損害の賠償請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする住民監査請求につき和解の日を基準として地方自治法二四二条二項の規定を適用すべきであるとされた事例

裁判要旨

 一 財務会計上の行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする住民監査請求において、右請求権が右財務会計上の行為のされた時点ではいまだ発生しておらず、又はこれを行使することができない場合には、右実体法上の請求権が発生し、これを行使することができることになった日を基準として地方自治法二四二条二項の規定を適用すべきである。
二 市が、国鉄から転売禁止特約付きで買い受けた土地を特約に違反して転売したとして、国鉄を承継した国鉄清算事業団から、右土地の売買契約を解除された上、解除により発生すると定められた違約金の支払を請求され、その請求訴訟における裁判上の和解に基づき違約金の一部に相当するとみられる和解金を支払ったため、右和解金相当額の損害を被ったのに、右の違法な転売行為をした市長個人に対して取得した損害賠償請求権の行使を怠っていると主張してされた住民監査請求について、右訴訟において市が右特約の有効性を争い違約金債務の負担を否定し続けていたなど判示の事実関係の下においては、右和解の日を基準として地方自治法二四二条二項の規定を適用すべきである。

参照法条

 地方自治法242条1項,地方自治法242条2項,地方自治法242条の2第1項

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