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最高裁判所判例集

事件番号

 平成7(オ)2029

事件名

 賃金請求事件

裁判年月日

 平成12年3月9日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第54巻3号801頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所

原審事件番号

 平成1(ネ)193

原審裁判年月日

 平成7年4月20日

判示事項

 一 労働基準法上の労働時間の意義
二 労働者が就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ又はこれを余儀なくされた場合における当該行為に要した時間と労働基準法上の労働時間
三 労働者が始業時刻前及び終業時刻後の作業服及び保護具等の着脱等並びに始業時刻前の副資材等の受出し及び散水に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当するとされた事例

裁判要旨

 一 労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではない。
二 労働者が、終業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間に該当する。
三 就業規則により、始業に間に合うよう更衣等を完了して作業場に到着し、所定の始業時刻に作業場において実作業を開始し、所定の終業時刻に実作業を終了し、終業後に更衣等を行うものと定め、また、始終業の勤怠は更衣を済ませ始業時に準備体操場にいるか否か、終業時に作業場にいるか否かを基準として判断する旨定めていた造船所において、労働者が、始業時刻前に更衣所等において作業服及び保護具等を装着して準備体操場まで移動し、副資材等の受出しをし、散水を行い、終業時刻後に作業場等から更衣所等まで移動して作業服及び保護具等の脱離等を行った場合、右労働者が、使用者から、実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられ、右装着を事業所内の所定の更衣所等において行うものとされ、副資材等の受出し及び散水を始業時刻前に行うことを義務付けられていたなど判示の事実関係の下においては、右装着及び準備体操場までの移動、右副資材等の受出し及び散水並びに右更衣所等までの移動及び脱離等は、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、労働者が右各行為に要した社会通念上必要と認められる時間は、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間に該当する。

参照法条

 労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)32条

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