裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和46(行ツ)84
- 事件名
時間外勤務手当請求
- 裁判年月日
昭和47年12月26日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
民集 第26巻10号2096頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
昭和41(行コ)17
- 原審裁判年月日
昭和45年11月27日
- 判示事項
一、市町村立小中学校教員の時間外勤務手当の負担者
二、静岡市立学校長の適法な権限に基づかない命令により時間外勤務をした教職員の時間外勤務手当請求権
三、静岡県立小中学校教職員の修学旅行ないし遠足における引率・付添いの勤務による時間外勤務手当請求権が認められた事例
- 裁判要旨
一、市町村立小中学校教員の時間外勤務手当の負担者は、右学校の設置者たる市町村である。
二、静岡市立学校において、校長の時間外勤務命令に基づき、教職員が正規の勤務時間以外の時間にわたつて本来の職務に属することがらについて勤務をした場合には、たとえ校長に右命令をする権限がなかつたとしても、それが教職員に対して事実三の拘束力をもつものであるかぎり、給与負担者である静岡市は、右職務命令の瑕疵を主張して時間外勤務に対する所定の手当の支給を拒むことは許されないものと解すべきである。
三、静岡市立小中学校の教職員が、所属学校長のあらかじめした命令により、正規の勤務時間をこえて修学旅行や遠足の引率・付添いの勤務をした場合において、当該勤務が、児童生徒に対する教育的効果の達成や危険の予防ないし危険が発生した場合の善後措置の施行等きわめて重大な責任を負担し、心身ともに不断の緊張およびその結果としての疲労を伴うという性質のものである以上、右教職員は、その勤務をした時間につき明確に証明できるものであるかぎり、時間外勤務に対する手当の請求権を取得すると解すべきである。
- 参照法条
学校教育法5条,労働基準法37条,労働基準法41条3号,労働基準法施行規則22条,市町村立学校職員給与負担法1条,職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例(昭和28年静岡県条例第32号、昭和46年静岡県条例第50号よる改正前のもの)8条,静岡県教職員の給与に関する条例(昭和31年静岡県条例第52号)15条,職員の給与に関する規則(昭和32年静岡県人事委員会規則7−25)27条2項
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