裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和58(オ)379
- 事件名
損害賠償
- 裁判年月日
平成3年5月10日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
民集 第45巻5号919頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所 金沢支部
- 原審事件番号
昭和54(ネ)154
- 原審裁判年月日
昭和57年12月22日
- 判示事項
一 刑訴法三九条三項の規定にいう「捜査のため必要があるとき」に当たる場合
二 捜査機関の接見の日時等の指定の方法と裁量の範囲
三 検察官のした接見等の指定の措置が指定の方法等において著しく合理性を欠き違法なものとされた事例
- 裁判要旨
一 刑訴法三九条三項の規定にいう「捜査のため必要があるとき」には、捜査機関が弁護人から被疑者との接見の申出を受けた時に、間近い時に被疑者を取り調べたり、実況見分、検証等に立ち会わせたりするなどの確実な予定があつて、弁護人の必要とする接見を認めたのでは右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合が含まれる。
二 捜査機関が弁護人と被疑者との接見の日時等を指定する方法は、その合理的裁量にゆだねられているが、それが著しく合理性を欠き、弁護人と被疑者との迅速かつ円滑な接見交通が害される結果になるようなときは、違法なものとして許されない。
三 検察官が、弁護人から被疑者との接見等の申出を受けた警察官から電話によりその措置について指示を求められた際に、弁護人と協議する姿勢を示すことなく、一方的に往復約二時間を要するほど離れている勤務庁に接見指定書を取りに来させてほしい旨を伝言したのみで接見の日時等を指定しようとせず、かつ、被疑者に対する物の授受につき裁判所の接見禁止決定の解除決定を得ない限り認められないとした措置は、その指定の方法等において著しく合理性を欠き、違法である。
(一につき補足意見がある。)
- 参照法条
国家賠償法1条1項,刑訴法39条1項3項,憲法34条前段
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