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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和38(オ)1066

事件名

 請求異議

裁判年月日

 昭和40年4月2日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第19巻3号539頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所

原審事件番号

 昭和36(ネ)654

原審裁判年月日

 昭和38年5月30日

判示事項

 一 口頭弁論終結前に相殺適状にある場合において右弁論終結後の相殺による債務消滅は請求異議の原因になるか。
二 弁護士法第二五条第一号または第二号に違反しないとされた事例。
三 弁護士法第二五条第三号の「受任している事件」の意義。
四 債権譲渡の通知前に相殺適状にある場合と債権譲受人に対する相殺の適否。

裁判要旨

 一 債務名義たる判決の基礎となる口頭弁論の終結前に相殺適状にあつたとしても、右弁論終結後になされた相殺の意思表示により債務が消滅した場合には、右債務の消滅は、請求異議の原因となりうる。
二 甲の代理人として乙に対する調停の申立をなし、その調停によつて乙の甲に対する贈与契約を成立させた弁護士が、後に乙の訴訟代理人となつて、右贈与契約上の債権を甲から譲り受けた丙を被告として、右債権が乙の甲に対する反対債務をもつてする相殺によつて消滅したと主張する訴を提起しても、当該訴訟事件の相手方から協議を受け、または依頼を受諾したことがあるとはいえないから、弁護士法第二五条第一号または第二号に違反しない。
三 弁護士法第二五条第三号の「受任している事件」とは、すでに終了した事件を含まない。
四 債務者が債権譲渡の通知を受ける前に譲渡人に対し相殺適状にある反対債権を有している場合には、右譲渡通知を受けた後においても、債務者は債権譲受人に対し相殺をもつて対抗することができる。

参照法条

 民訴法545条,弁護士法25条1号,弁護士法25条2号,弁護士法25条3号,民法468条,民法505条

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