裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和47(オ)777
- 事件名
懲戒戒告処分無効確認
- 裁判年月日
昭和52年12月13日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
民集 第31巻7号974頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
昭和45(ネ)1072
- 原審裁判年月日
昭和47年5月10日
- 判示事項
一、日本電信電話公社の就業規則において禁止されている政治活動の意義
二、勤務時間中に「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と記載したプレートを着用した職員の行為が日本電信電話公社法三四条二項所定の職務専念義務に違反するとされた事例
三、電報電話局の局所内において「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と記載したプレートを着用して勤務した職員の行為が局所内における政治活動を禁止した就業規則の規定に違反するとされた事例
四、電報電話局の局所内における職員のビラ配布行為が局所内におけるビラ配布等につき事前に局所の管理責任者の許可を受けなければならない旨の就業規則の規定に違反するとされた事例
五、休憩時間中の局所内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等についても局所の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定める日本電信電話公社の就業規則の規定が休憩時間の自由利用に対する合理約な制約であるとされた事例
- 裁判要旨
一、日本電信電話公社の就業規則において禁止されている政治活動とは、人事院規則一四―七所定の政治的目的をもつてされる政治的行為を指すものではなく、社会通念上政治的と認められる活動をいう。
二、日本電信電話公社の職員が勤務時間中に「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と記載したプレートを着用してこれを職場の同僚に訴えかけることは、日本電信電話公社法三四条二項所定の職務専念義務に違反する。
三、電報電話局の局所内において職員が社会通念上政治的な意味をもつ「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」という文言を記載したプレートを着用して勤務しこれを職場の同僚に訴えかけることは、局所内の秩序風紀の維持を目的とする日本電信電話公社の就業規則の政治活動禁止規定に違反する。
四、電報電話局の局所内において局所の管理責任者の許可を得ないでした職員のビラ配布行為は、その配布の態様につきとりたてて問題にする点はなかつたとしても、上司の適法な命令に抗議する目的でされ、その内容においても上司の適法な命令に抗議し局所内での違法なプレート着用等をあおりそそのかすことを含むものであつて、局所内の秩序を乱すおそれがあつた以上、局所内の秩序風紀の維持を目的とする局所内のビラの配布等につき事前に局所の管理責任者の許可を受けなければならない旨を定める日本電信電話公社の就業規則の規定に違反する。
五、休憩時間中であつても、局所内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を行うことは、局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり、他の職員の休憩時間の自由利用を妨げひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあり、その内容いかんによつては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるから、休憩時間中にこれを行うについても局所の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定める日本電信電話公社の就業規則の規定は、休憩時間の自由利用に対する合理的な制約というべきである。
- 参照法条
日本電信電話公社法33条,日本電信電話公社法34条1項,日本電信電話公社法34条2項,労働基準法34条3項,労働基準法89条
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