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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和47(行ツ)52

事件名

 行政処分無効確認等、附帯

裁判年月日

 昭和52年12月20日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 民集 第31巻7号1101頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和44(行コ)55

原審裁判年月日

 昭和47年2月16日

判示事項

 一、職員の行為が国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項に違反する場合と同法九八条一項、一〇一条一項、人事院規則一四―一第三項違反
二、公務員に対する懲戒処分の適否に関する裁判所の審査
三、争議行為等の禁止規定違反などを理由としてされた税関職員に対する懲戒免職処分が裁量権の範囲を超えこれを濫用したものとはいえないとされた事例

裁判要旨

 一、職員の行為が国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項に違反する場合であつても、それが同法九八条一項、一〇一条一項、人事院規則一四―一第三項の違反となることを妨げられない。
二、裁判所が懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と右処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、それが社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法と判断すべきものである。
三、勤務時間内の職場集会、繁忙期における怠業、超過勤務の一せい拒否等の争議行為に参加しあるいはこれをあおりそそのかしたことが国家公務員法の争議行為等の禁止規定に違反するなどの理由でされた税関職員に対する懲戒免職処分は、右職場集会が公共性の極めて強い税関におけるもので職場離脱が職場全体で行われ当局の再三の警告、執務命令を無視して強行されたこと、右怠業が業務処理の妨害行為を伴いその遅延により業者に迷惑を及ぼしたこと、右超過勤務の一せい拒否が職場全体に及び業者からも抗議が出ていたこと、職員に処分の前歴があることなど判示のような事情のもとでは、社会観念上著しく妥当を欠くものとはいえず、懲戒権者に任された裁量権の範囲を超えこれを濫用したものと判断することはできない。

参照法条

 国家公務員法98条1項,国家公務員法(昭和40年法律第69号にる改正前のもの)82条,国家公務員法(昭和40年法律第69号にる改正前のもの)84条,国家公務員法(昭和40年法律第69号にる改正前のもの)98条5項,国家公務員法(昭和40年法律第69号にる改正前のもの)101条1項,人事院規則141(昭和24年5月9日施行)3項,行政事件訴訟法30条

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