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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和48(オ)1113

事件名

 金銭消費貸借契約無効確認

裁判年月日

 昭和52年6月20日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第31巻4号449頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

 昭和45(ネ)354

原審裁判年月日

 昭和48年8月14日

判示事項

 一、いわゆる拘束された即時両建預金を取引条件とする信用組合の貸付が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律一九条に違反するとされた事例
二、いわゆる拘束された即時両建預金を取引条件とする信用協同組合の貸付が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律一九条に違反する場合と貸付契約の私法上の効力

裁判要旨

 一、信用協同組合が、組合員に現実に借受を必要とする実質貸付額五五〇万円を貸し付けるにあたり、右貸付について十分な物的・人的担保があるのに、実質金利を高める等のため、取引条件として、組合員に、貸付額七五〇万円の本件貸付契約及び同四〇〇万円の別口貸付契約を締結させて実質貸付額を超過する六〇〇万円を貸し付け、その六〇〇万円を即時二〇〇万円の定期預金及び四〇〇万円の割増金付定期預金として組合に預託させ、これに担保権を設定して払戻を制限し、また、実質金利が年一割七分一厘入毛余になるなど、判示の事情のもとにおいては、右各貸付契約及び各定期預金契約は、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の一〇にあたり、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律一九条に違反するというべきである。
二、いわゆる拘束された即時両建預金を取引条件とする信用協同組合の貸付が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律一九条に違反する場合でも、その違反により、貸付契約が直ちに私法上無効になるとはいえず、また、右契約が公序良俗に反するともいえないが、両建預金及び超過貸付があるために実質金利が利息制限法所定の制限利率を超過しているときは、右超過する限度で貸付契約中の利息、損害金についての約定は、同法一条、四条により無効になるものと解すべきである。

参照法条

 私的独占の禁止及び公正取引の確保関する法律2条7項5号,私的独占の禁止及び公正取引の確保関する法律9条,昭和28年公正取引委員会告示11号10,民法90条,利息制限法1条1項,利息制限法2条,利息制限法4条1項

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