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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和42(オ)647

事件名

 損害賠償請求

裁判年月日

 昭和45年7月16日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第24巻7号982頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和38(ネ)1068

原審裁判年月日

 昭和42年3月6日

判示事項

 請負人が第三者に与えた損害につき注文者の注文または指図に過失が認められないとされた事例

裁判要旨

 請負人の施行した道路開設工事による落石のため第三者に損害を生じた場合において、右損害が注文者の作成した設計図および仕様書自体のかしによつて生じたものではなく、注文者は請負人に対し、落石等により損害を生ずることのないような措置を講ずべきことを要求し、これに要する費用を加算して請負代金額を決定し、請負人も、その趣旨を諒承して、自己の責任において事故防止の措置を講ずることを約して工事を引き受け、注文者の具体的指示によらず、自主的な判断によつて岩石の切捨てをしたものであり、注文者は、請負契約上、工事施行方法について判示のような指示監督の権限を有し、かつ、常時監督員を工事現場に派遣していたが、その目的はもつぱら工事が契約どおりに行なわれることを確保することにあつたなど判示の事実関係があるときは、注文者が、当初から右損害の発生のおそれのあることを予知していながら、損害防止に必要な措置を請負人に具体的に命ずることなく工事を注文し施行させたものであつても、注文者の注文または指図に過失があつたものと認めることはできない。

参照法条

 民法716条

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