裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和46(行ツ)69
- 事件名
行政処分取消等
- 裁判年月日
昭和52年7月13日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
民集 第31巻4号533頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
昭和42(行コ)8
- 原審裁判年月日
昭和46年5月14日
- 判示事項
一、憲法における政教分離原則
二、憲法二〇条三項にいう宗教的活動の意義
三、市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式が憲法二〇条三項にいう宗教的な活動にあたらないされた事例
- 裁判要旨
一、憲法の政教分離原則は、国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが、国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いがわが国の社会的・文化的諸条件に照らし信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。
二、憲法二〇条三項にいう宗教的活動とは、国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう。
三、市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式は、宗教とかかわり合いをもつものであることを否定することはできないが、その目的が建築着工に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従つた儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果が神道を援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるものとは認められない判示の事情のもとにおいては、憲法二〇条三項にいう宗教的活動にあたらない。
- 参照法条
憲法20条・89条
- 全文