裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和25(あ)2431
- 事件名
強盗傷人
- 裁判年月日
昭和26年5月15日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻6号1152頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年6月23日
- 判示事項
控訴趣意書提出期間経過後に選任された弁護人に控訴趣意書を提出させる措置を採らないことと憲法三七条第三項
- 裁判要旨
憲法第三七条前段所定の弁護人に依頼する権利は被告人が自ら行使すべきもので同条項は裁判所が被告人に対し国選弁護人の選任を請求し得る旨を告知すべき義務を課したものではなく、裁判所は被告人にこの権利を行使する機会を与えたこの行使を妨げなければならないのである。(昭和二四年(れ)第二三八号同二四年一一月三〇日大法廷判決参照)然るに、本件において被告人は第一審大阪地方裁判所の弁護人選任に対する通知に対し弁護人は私選する旨回答し、且つ弁護人を私選し、原審においても国選弁護人の選任を請求せず却つて控訴趣意書提出期間経過後の昭和二五年六月一日自ら弁護人を選任し同弁護人は同年六月一六日の第一回公判期日に出頭の上被告人提出の控訴意趣書に基いて異議なく弁論を終了していることは本件記録に徴し明らかである。そして被告人が弁護人において控訴趣意提出期間内に控訴趣意書を提出できるような適当な時期に弁護人を選任しなかつたことは正に被告人の懈怠に基くものであつて記録を精査しても原審が被告憲法第三七条三項によつて保障された弁護人選任権の行使を妨げた事跡はとうてい認められない。
- 参照法条
憲法37条3項,刑訴法414条,刑訴法272条,刑訴法289条
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