裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和26(れ)908
- 事件名
住居侵入、殺人未遂、騒擾、傷害、銃砲等所持禁止令違反
- 裁判年月日
昭和28年5月21日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第7巻5号1053頁
- 原審裁判所名
福岡高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年12月28日
- 判示事項
一 騒擾罪の成立には多衆の暴行脅迫が群集の暴動に発展し社会の治安を動揺せしめる危険または社会の治安に不安動揺を生ぜしめた事実を必要とするか
二 刑法第一〇六条にいわゆる「多衆」の意義
三 騒擾罪にあたる殺傷行為が特定の一個人に対するものである場合と騒擾罪の成否
四 騒擾罪の首魁の意義
五 騒擾罪の判示方法
六 不利益変更にあたる一事例
- 裁判要旨
一 騒擾罪の成立には多衆の暴行脅迫が群集の暴動に発展し社会の治安を動揺せしめる危険または社会の治安に不安動揺を生ぜしめた事実を必要としない。
二 刑法第一〇六条にいわゆる多衆は、互に意思連絡のない不特定多数人であることを必要としない。
三 騒擾罪にあたる殺傷行為が特定の一個人に対するものであつても騒擾罪の成立に影響をおよばさない。
四 騒擾罪の首魁とは主動者となり首唱劃策し、多衆をしてその合同力により暴行または脅迫を為すに至らしめる者を謂い、必ずしも暴行脅迫を共にし、もしくは現場に在つて総括指揮することを必要としない。
五 騒擾罪にあたる事実を判示するには、多衆が集合して暴行または脅迫の行為をしたことを明らかにすれば足り、特にその行為が地方の静謐を害し又は公共の平和を害する虞のあることを判示する必要はない。
六 第一審判決が被告人Aに対し懲役一年六月を言渡し第一審における未決勾留日数中一二〇日を右本刑に算入したこと、同被告人のみがこれに対し控訴したこと、しかるに原判決が同被告人に対し第一審判決と同一の懲役一年六月の刑を言渡しながら第一審における未決勾留日数を本刑に算入しなかつたときは、旧刑訴四〇三条に違反する。
- 参照法条
刑法106条1項,刑法199条,刑法204条,旧刑訴法403条
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