裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成8(オ)1677
- 事件名
地位確認等請求、仮執行の原状回復申立て事件
- 裁判年月日
平成12年9月7日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
民集 第54巻7号2075頁
- 原審裁判所名
仙台高等裁判所
- 原審事件番号
平成5(ネ)231
- 原審裁判年月日
平成8年4月24日
- 判示事項
六〇歳定年制を採用していた銀行における五五歳以上の行員を対象に専任職制度を導入する就業規則の変更のうち賃金減額の効果を有する部分がこれに同意しない右行員に対し効力を生じないとされた事例
- 裁判要旨
六〇歳定年制を採用していた銀行が、就業規則を変更し、五五歳に達した行員を新設の専任職に発令するとともに、その基本給を五五歳到達直前の額で凍結し、業績給を一律に五〇パーセント減額し、管理職手当及び役職手当は支給せず、賞与の支給率を削減するなどという専任職制度を導入した場合において、右就業規則の変更のうち賃金減額の効果を有する部分については、職務の軽減が図られていないにもかかわらず、右変更により専任職に発令された行員の退職時までの賃金が三割前後も削減され、代償措置は不十分であり、右変更後の賃金水準は高年層の事務職員のものとしては格別高いものとはいえず、他方、右変更により中堅層の賃金は格段の改善がされ、人件費全体は逆に上昇しているのであって、右変更は、中堅層の労働条件を改善する代わりに高年層の労働条件を一方的に引き下げたものといわざるを得ず、賃金水準切下げの差し迫った必要性に基づいてされたものではなく、執られた経過措置も高年層を適切に救済するものとはいえないなど判示の事情の下では、右部分は、高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであるということはできず、これに同意しない右行員に対し効力を生じない。六〇歳定年制を採用していた銀行における五五歳以上の行員を対象に五五歳以上の行員の賃金に不利益を及ぼす就業規則の変更が右行員に対し効力を生じないとされた事例
- 参照法条
労働基準法(平成10年法律第112号による改正前のもの)89条
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