裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和40(オ)145
- 事件名
就業規則の改正無効確認請求
- 裁判年月日
昭和43年12月25日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
民集 第22巻13号3459頁
- 原審裁判所名
仙台高等裁判所 秋田支部
- 原審事件番号
昭和37(ネ)65
- 原審裁判年月日
昭和39年10月26日
- 判示事項
一、労働者に不利益な労働条件を一方的に課する就業規則の作成または変更の許否
二、五五歳停年制をあらたに定めた就業規則の改正が有効とされた事例
三、就業規則の法的性質
- 裁判要旨
一、使用者が、あらたな就業規則の作成または変更によつて、労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないが、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないと解すべきである。
二、従来停年制のなかつた主任以上の職にある被用者に対して、使用者会社がその就業規則であらたに五五歳の停年制を定めた場合において、同会社の般職種の被用者の停年が五〇歳と定められており、また、右改正にかかる規則条項において、被解雇者に対する再雇用の特則が設けられ、同条項を一律に適用することによつて生ずる苛酷な結果を緩和する途が講ぜられている等判示の事情があるときは、右改正条項は、同条項の改正後ただちにその適用によつて解雇されることに上なる被用者に対しても、その同意の有無にかかわらず、効力を有するものと解すべきである。
三、就業規則は、当該事業場内での社会的規範であるだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、法的規範としての性質を認められるに至つているものと解すべきである。
- 参照法条
労働基準法89条,労働基準法93条,民法92条
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