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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和22(れ)171

事件名

 公文書偽造、収賄

裁判年月日

 昭和23年5月5日

法廷名

 最高裁判所大法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第2巻5号447頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和22年9月29日

判示事項

 一 刑事訴訟法第三六〇條第二項の法意
二 控訴の唯一の理由とこれに對する判斷の要否
三 憲法第三七條第一項にいう「公平な裁判所の裁判」の意義

裁判要旨

 一 刑事訴訟法第三六〇條第二項にいう法律上犯罪の成立を阻却すべき原由とは例へば刑法第三五條乃至第三七條所定の事由の如き刑法第二編各條所定の罪の構成要件は一應これを具備して居ながら尚罪の成立を阻却する事由をいうので所論の様な罪の構成要件を缺く旨の主張は前記法條所定の主張に該當しない。
二 控訴の唯一の理由であればどんな主張でも必ずこれに對する判斷を判文中に明示しなければならないという法規も法理も存在しない。されば控訴審が罪の成立に何等影響の無い事柄に付き判斷を示さなかつたことは假令それが控訴の唯一の理由であつたとしても少しも違法ではない、無論違憲などいう問題ではない。
三 憲法第三七條の「公平な裁判所の裁判」というのは構成其他において偏頗の惧なき裁判所の裁判という意味である。かかる裁判所の裁判である以上個々の事件において法律の誤解又は事實の誤認等により偶々被告人に不利益な裁判がなされてもそれが一々同條に觸れる違憲の裁判になるというものではない。されば本件判決裁判所が構成其他において偏頗の惧ある裁判所であつたことが主張立證せられない限り假令原判決に所論の様な法律の誤解、事實の誤認又は記録調査の不充分等があつたと假定しても同條違反の裁判とはいえない。

参照法条

 刑訴法360條2項,刑訴法360條,刑訴法407條,憲法37條1項

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