裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和23(れ)1174
- 事件名
物価統制令違反
- 裁判年月日
昭和23年12月24日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第2巻14号1899頁
- 原審裁判所名
仙台高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年7月24日
- 判示事項
一 昭和二〇年勅令第五四二號の効力
二 縣が一一〇圓で賣つた物件を一六〇圓で賣つた行爲と不當高價賣却
三 物價統制令第九條ノ二違反行爲につき適正價格判示の要否
四 一九四五年九月二二日指令第三号中二、経済統制(イ)の項にいわゆる「維持する」の意味
五 判事又は判事補の官氏名を「裁判官何某」と記載した公判調書の効力
- 裁判要旨
一 昭和二〇年勅令第五四二號が舊憲法下においても新憲法下においても有効であることは既に當裁判所大法廷の判例とする處である。(昭和二二年(れ)第二七九號事件判決)
二 縣が本件物件を一一〇圓で賣つたからといつて、これを以て直ちに該物件の適正價格が一一〇圓であるとすることは出來ない。原審の舉示した證據を參酌して見ると、原審はその適正價格を高くとも九一圓三一錢の九割下と見たものと推測することが出來る。此品物を一六〇圓で賣つた被告人の行爲を、不當高價賣却と爲した原審の判斷は正當である。
三 適正價格が何程であるかわからなければ、、被告人の爲した賣却が物價統計令第九條ノ二所定の不當價格のものなりや否やを判斷すること出來ないのは勿論だから、裁判所は適正價格が何程なりやの審査をしなければならないことはいう迄もない。しかし判文に被告人の犯罪行爲を判示するに當つては必ずしも適正價格が何程であつたかを明示する必要はない。
四 一九四五年九月二二日指令第三号中二、経済統制(イ)の項にいわゆる「維持する」とは、従来存した統計をそのまま維持する意味ではない。
五 所論の公判調書に「裁判官何某」と記載されているのは「判事又は判事補何其」と記載されているのと同じであつて、これを以て、刑事訴訟法第六〇條第二項第二號所定の判事の官氏名の記載を缺くが故に無効であるということはできない。
- 参照法条
昭和20年勅令542號,物價統制令9條ノ2,物價統計令9條ノ2,刑訴法360條1項,刑訴法60條2項2號,1945年9月22日指令3号中2、経済統制(イ)
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