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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和23(れ)1510

事件名

 尊属傷害致死

裁判年月日

 昭和24年4月5日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第3巻4号421頁

原審裁判所名

 仙台高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和23年8月19日

判示事項

 一 舊刑訴法第四〇三條の不利益變更禁止に關する規定の意義
二 尊屬傷害致死行爲について直系尊屬たることの認識がなかつたという主張に對し判斷明示の要否
三 兇器についての認識が不充分な過剰防衛の一場合

裁判要旨

 一 舊刑事訴訟法第四〇三條における「原判決の刑より重き刑を言渡すことを得ず」というのは言渡刑のみに付いていうものであること既に當裁判所の繰返し判例とする處でなお變更の要を見ない。(昭和二三年一一月十八日言渡同年(れ)第一〇〇八號事件判決、昭和二三年十二月四日言渡同年(れ)第八三八號事件判決)
二 刑法第二〇五條第二項の罪においては被害者が直系尊屬たることの認識は舊刑事訴訟法第三六〇條第一項の「罪となるべき事實」に該るもので原審はこれを認定した證據を示している、右の認識がなかつたとの主張は同條第二項の主張ではないからこれについては特に右法條の要求する判斷を判文に明示する必要はない。
三 原審は斧とは氣付かず棒様のものと思つたと認定しただけでただの木の棒と思つたと認定したのではない、斧はただの木の棒と比べものにならない重量の有るものだからいくら昂奮して居たからといつてもこれを手に持つて毆打する爲め振り上げればそれ相應の重量は手に感じる筈である、當時七四歳(原審認定)の老父(原審は被害者が實父Aであることの認識があつたと認定しているのである)が棒を持つて打つてかかつて來たのに對し斧だけの重量のある棒様のもので頭部を原審認定の様に亂打した事實はたとへ斧とは氣づかなかつたとしてもこれを以て過剰防衛と認めることは違法とはいえない。

参照法条

 舊刑訴法403條,舊刑訴法360條1項,刑法205條2項,刑法205條1項,刑法36條2項

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