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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和24(つ)87

事件名

 特別抗告の申立

裁判年月日

 昭和27年2月7日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第6巻2号197頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所  金沢支部

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和24年8月15日

判示事項

 一 刑法第二六条第三号の意義
二 昭和二四年一月一日前に公訴の提起があつた事件についてなされた刑執行猶予言渡に対する取消請求事件に適用される手続法
三 いわゆる旧刑訴事件について簡易裁判所がした決定に対する管轄抗告裁判所
四 いわゆる旧刑訴事件について簡易裁判所がした決定に対する即時抗告の申立について、高等裁判所が新刑訴法を適用して棄却した決定に対する不服申立の方法
五 刑法第二六条第一項第三号の「猶予ノ言渡前他ノ罪ニ付キ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコト発覚シタルトキ」の意義

裁判要旨

 一 執行猶予の言渡前にすでに他の罪につき禁錮以上の刑に処せられたことが発覚していた場合には、刑法二六条三号によつて執行猶予の言渡を取消すことはできないものと言わなければならない。
二 昭和二四年一月一日前に公訴の提起があつたいわゆる旧刑訴事件についてなされた刑執行猶予言渡に対する取消請求事件については、刑訴施行法第二条により、旧刑訴法及び刑訴応急措置法によるべきである。
三 いわゆる旧刑訴事件について簡易裁判所がした刑執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告の申立については、昭和二三年法律第二六〇号による改正前の裁判所法第二四条第三号により地方裁判所がこれを審判すべきである。
四 いわゆる旧刑訴事件について簡易裁判所がした刑執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告の申立について、誤つて高等裁判所が新刑訴法を適用して棄却の決定をした場合でも、この決定に対しては、刑訴応急措置法第一八条により特別抗告をするは格別、刑訴第四二八条第二項による異議の申立又は刑訴第四三三条による特別抗告をすることはできない。
五 刑法第二六条第一項第三号に「猶予ノ言渡前他ノ罪ニ付キ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコト発覚シタルトキ」とあるは、所定の処刑の事実が猶予の言渡後に発覚した場合をいうのであつて、その言渡前に既に発覚していた場合はこれにあたらない。

参照法条

 刑法26条3号,刑法26条1項3号,刑訴施行法2条,旧刑訴法374条,昭和23年12月21日法律260号裁判所法の一部を改正する等の法律による改正前及び改正後の裁判所法16条2号,昭和23年12月21日法律260号裁判所法の一部を改正する等の法律による改正前及び改正後の裁判所法24条3号,右改正法律附則11条,刑訴応急措置法18条,刑訴法428条2項,刑訴法433条

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